三井物産が出資する量子コンピューティング企業とは?
三井物産が出資する量子コンピューティングの可能性
量子コンピュータとは?
量子ビットを使って計算するコンピュータ。従来のコンピュータと桁違いの処理能力を持っています。
従来のコンピュータと比較して1億倍の速度の差があると言われているのです。
数えきれないほどパターンから最適な1つを見つける事などにむいており、新薬の開発スピードがあがると言われています。
量子コンピュータがもたらす変化
暗号が容易に解読可能になってしまう
金融分野などで使われている暗号が簡単に解読出来るようになってしまう可能性があるのです。
そうなると悪意あるものに金融システムを操作されてしまうリスクがあります。
新暗号システムや新セキュリティの開発を急ぐ必要性がでてきました。
三井物産が出資したQuantinuum社とは?
三井物産はQuantinuum社に50百万米ドル(約72億円)の出資する事を決めました。
三井物産が出資する事によるメリット
下記の内容により、出資金額以上のメリットがあります。
セキュリティ面の開発をいそがないと新しい技術を一般の人や企業に普及する事が出来ないのが分かります。
量子コンピューティングは、2035年には素材開発、ヘルスケア、金融サービス、サイバーセキュリティ、物流最適化等の様々な分野で約100兆円規模の価値創出をもたらすと予測*2される等、技術開発・活用検討が世界的に急加速しています。
三井物産の2024年1月17日のリリースを引用
三井物産は、今回のQuantinuumへの出資参画及び販売代理店契約の締結を通じ、資本・ビジネス両面において戦略的パートナーシップを更に深化し、三井物産のグローバルかつ広範な産業領域におけるビジネス知見とQuantinuumの先端テクノロジーを結合し、共同でのユースケース開拓・新たなビジネスモデル開発・顧客企業への価値提供を加速します。
Quantinuum社とは?
世界最大の量子コンピューティング企業(2024年3月時点)
直近のQuantinuumの実績 (2024年1月17日の情報)
三井物産の2024年1月17日のリリースを引用
- 2021年12月、世界初の商用量子セキュリティソフトウェアQuantum Origin(クオンタム・オリジン、量子乱数生成サービス)を発表
- 2022年8月、誤り耐性型量子コンピュータの実現に向けた重要な一歩となる、リアルタイムでの量子誤り訂正を使用し、誤り耐性量子回路で2つの論理量子ビットをもつれさせることに初めて成功
- 2023年5月、次世代ゲート型イオントラップ方式量子コンピュータSystem Model H2 powered by Honeywellを発表。32-qubit(quantum bit=量子ビット)で量子コンピュータの性能を示すQV(Quantum Volume=量子ボリューム)が65,536達成を発表
- 2023年6月、System Model H1 powered by Honeywellにおいて、量子ボリューム世界最高となるQV 524,288達成を発表
- 2024年1月、理化学研究所の「量子コンピュータとスパコンを連携利用するためのプラットフォーム研究開発プロジェクト」にSystem Model H1が採用されたことを発表
Quantinuum社が提供するサービス
Quantum Origin (Cybersecurity)
量子コンピューティングにより非決定論的に高品質な量子乱数を生成し、強固な暗号鍵をAPIもしくはオンプレミスで利用可能になります。特許技術“ベルテスト”によって乱数の品質が都度検証されており、環境やデバイス故障の影響をうけません。
三井物産 Quantum Innovationsのページを引用
オンプレミスとは?
サーバーなどの通信設備やソフトウェアを自社で保有して、システム構築する運用方法
InQuanto (Quantum Chemistry)
様々な量子アルゴリズム・エンベディング手法が実装されたpythonソフトウェアです。TKETベースであるため、回路の最適化と任意の量子コンピューティングで利用可能なことに加え、化学分野特有の最適化機能も実装されています。
三井物産 Quantum Innovationsのページを引用
H-series powered by Honeywell イオントラップ方式量子ゲートマシン
量子ビットの高い忠実性のある全結合の量子ゲートマシンです。極めて高い量子ボリュームが示されており、また量子誤り訂正分野においても多くの重要な研究成果があります。
三井物産 Quantum Innovationsのページを引用
TKET (Quantum Software)
H-seriesに限らず、量子コンピューティング非依存な量子プログラミングを可能にするミドルウェアです。量子回路をエラーの少ない等価なものに最適化します。
三井物産 Quantum Innovationsのページを引用
量子コンピューティングの活用方法
量子サイバーセキュリティー
現在の暗号は、量子コンピューティングにより容易に解読されてしまいます。
同じ処理能力をもって、解読に時間がかかる強固なセキュリティの構築。
・金融機関セキュリティ耐量子化
・自動運転セキュリティ耐量子化
・データベース耐量子化
量子化学計算
高精度な量子化学計算を多項式時間で実行。化学現象の予測できる事が証明されています。
・バッテリーの設計
・触媒の設計
・薬効を示す分子の評価とタンパク質構造の予測
最適化
ばらばらに管理されている鉄道、バス、車などの交通網を一元管理して効率化が可能。
従来だと天文学的な組み合わせになってしまい不可能に近い内容でした。
膨大な組み合わせから最適解を得る事が出来ます。
・都市交通全自動化
・空飛ぶクルマの経路最適化
・鉄道ダイヤ最適化
量子機械学習
機械学習では、複雑な確率分布のモデル化や過学習、シミュレーションが困難なデータ生成、逆行列計算のコスト、説明不可能性などが課題になります。量子コンピューティングはそれらを解決し得る技術として注目されています。
三井物産 Quantum Innovationsのページを引用
・モンテカルロプライジングのための金融データサンプリング
・バイオマーカーの探索
・量子自然言語処理
モンテカルロプライシングとは?
金融派生商品のプライシングやリスク量の算出のこと
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